プロデビューを目指す競輪学校生徒サイト

生徒インタビューリポート 山路藍編

2014/03/20

20140320 (1).JPG

「今まで、いろいろやってきました。何から話せばいいか分からないくらいです」。

そう半生を振り返って、笑みをたたえた。確かにその通りだろう。さまざまな業種からガールズケイリンへの挑戦表明はあるが、山路の場合も、かなり珍しい経歴と言える。

「中学生から空手をやっていたんですけど、高校生になってからテコンドーに変えて、大学まで7年間ずっとやっていました。そのときの空手の女子は試合が年数回しかなかったんです。せっかく練習しているのだから試合にたくさん出たいなと思って、試合の多いテコンドーに変えました。小さい大会から大きい大会まで、テコンドーの試合は数えるとたくさんあって、1~2カ月に1回は試合があり、全部出ようと思っていました(笑)。実戦がしたいというか、道場生として練習していて強くなってくると、他の道場の人ともやってみたいなと思うようになったからですね」

そのテコンドーでは大学2、3年のときに日本代表に選ばれるまでの活躍を見せた。アジア大会などにも出場して、ホープと謳われるまでになった。だが大学卒業時、憧れていた別の世界に思い切り飛び込むことになる。

「日本代表までなれたのは師範のおかげでした。テコンドーを続ける選択肢はありましたが、オリンピックの出場がかかっていた世界選手権に出て、メダルを獲らないと無理だったのに、2回戦で敗退して……ダメでした。それで大学を卒業するときに、続けようかどうしようかなと思っていたら、よしもと新喜劇のオーディションがあったんです。ずっと、お笑いにも興味があったので、受けたら受かりました」


20140320 (2).JPG
 

新喜劇は2年間やりました

もちろん好きなお笑いの世界ではあったが、下積み生活を送る中で、心の中にはいつしか「スポーツ」への思いが再び膨らんでいた。

「新喜劇は2年間やりました。自分でネタをやるとかではなかったので、1時間の舞台でも出ているのは最初の方でコケるだけ。お笑いの世界は、頭の回転が良くないとできないなし、難しいなと思いましたね。2年しかやっていないのに決断を出すのは早いとは思ったんですけど、コケてばかりの毎日を何年やるのかなと。これに耐えていけば、上にいけるのかもしれないけど、きついなとは思いましたね……。それでまたスポーツをやりたいなと思うようになりました」

次に目指したのはボクシングだったが、「肩がダメで外れてしまって…」ドクターストップ。諦めざるをえない現実を前に、学生時代に教員免許を取得していたこともあり、「バタバタしすぎた人生だったから落ち着こう」と非常勤で体育教師の仕事を始めようとしていた。ある記事に目が留まったのは、そんな時期だった。

「スポーツをやりたいなと思っていたににボクシングもできなくなって……。何ができるか分からなかったんですけど、たまたま読んでいた新聞に、中村由香里選手の記事が載っていたんです。ちょうどガールズケイリンが始まった年でした。今から始められるスポーツはなかなかないですが、自転車だったらこの年齢からでもいけるかなと思って目指しました。もうちょっとだけ、頑張ろうかなと」
 

20140320 (3).JPG

「まずはホームページを見て、愛好会に参加しようと思いました。兵庫に住んでいましたが、兵庫の愛好会は明石にあり、自分の家からは遠かったんです。大阪も岸和田、CSCと遠かったですが、京都向日町は家からだったら1時間くらいでいけるし、交通費も安かったので、愛好会に一度行こうと顔を出しました。最少はロードバイクを買って、その辺でクルクル回していただけでしたが、もう一度行ったときに、たまたま川村晃司さんがいて、上の方が『晃司、(練習を)見たれや』と。実はそれを聞いたときも、まったく分かっていませんでした。『見たれや? 自分でやるのではないの?』と。師匠を作るということを知らなかったんですね。それで、ずっと顔はクエスチョンマークでしたが、『よろしくお願いします』と。そのときは、川村晃司さんというビッグネームすら知らなかったんです(苦笑)。そこからは受験まで3~4カ月しかなかったので、朝から練習を見てくれたり、昼からも付き合ってくれたり、普通なら休むと思うのにレースから帰ってきてすぐ次に来てくれたりと、師匠がずっとついてくれました」

努力の甲斐もあり無事に106回生として競輪学校への合格を決めた。すでに10カ月近くの訓練期間を経て、卒業を間近に控えるまでになったが、ここまでの印象はどうだろうか。

「ケイリンはすごい競技、スポーツだなと思いましたね。まだ、楽しいと思えるほど実力が届いていないんです。楽しめるくらいの実力をつけたいと思うし、もっとイメージ通りいけたらいいですが、まだまだ体力や技術が付いていっていないです。あと、落車など危険なこともあるので……。新喜劇でコケるのとは訳が違いますからね。格闘技でも毎回、防具を身に付けて完全防備でやって、大きなケガといっても、頭を打ったり、擦りむいたりするくらい。ケイリンはケガをするとレベルが違いますし、見ているときには思わなかったことですね」

20140320 (4).JPG

現状の課題は「持久力」。

そこは師匠にも常々、指摘されているところだ。

「つくづく思ったのはダッシュだけではダメだなということ。持久力がなくて苦労しています。学校に入って、こういう感じかなというものがありましたが、競走訓練も持久力がないとやっていけないし、脚を溜めるのが難しいです。最初に脚を使ってしまうと、ダッシュがあっても結局は一緒なんですよね。とにかく今は持久力です。師匠にも大事だと言われていますし、課題ですね。今は付いていくだけですが、できればホームバックを取れる選手にはなりたいです。でも自分から(仕掛けて)いきたいなという気持ちはあるんですけど、全然いけていないです(苦笑)。自分のイメージ通りの余力を残して、自分でレースを動かしていける脚がほしいですね」

念願のプロデビュー。「転々としている感じ、ありますよね」と笑った人生だったが、もう迷いはない。

「切り替えは早い性格だと思います。でも、年をとってきて、悩まなくはなりましたね(笑)。今までは悩みまくっていましたが、最近は、大人になりました。レースでダメだったとしても落ち込まず、『次だ!』と思っていますから。それが、いいかどうかは分からないですけどね。ケイリンは車券に貢献しないといけませんし、自分がやりたいことをやるのではなくて、本当はイメージがたくさんありますけど、自分が勝てる方法で勝ちにいきたいと思います。スポーツでお金を稼げるのはすごいことですし、目標は、一つでもいいのでレースで優勝すること。そして師匠に認めてもらって、『すごいな』と言ってもらいたいですね」

20140320 (5).JPG

そして、競輪学校卒業にはもう一つのお楽しみも。「趣味は、ずっと前から変わっていないんですけど、少年ジャンプ系のマンガを読むこと。ここ一年、読んでいないんですよね(笑)。すごくいいところだったのに止まっているので、続きが早く読みたくて、読みたくて! どこまでいっているのか、どうなっているのか! もちろん、しっかりと練習もやった上で、読みたいと思います(笑)」

「元気をもらえるし、一番強い悟空のようになりたい」。

最初に憧れを抱いたのはドラゴンボールの主人公・孫悟空だった。7個集めると願い事が叶うというドラゴンボール、山路は鮮やかな7車立てのガールズケイリンで、その夢を叶えていく。