プロデビューを目指す競輪学校生徒サイト

生徒インタビューレポート 髙橋千秋編

2014/02/17

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「真逆でした」。

初めてピストにまたがったときの感触を、高橋はそう表現する。本格的に乗り出したのは、競輪学校への入学が決まってから。必要なシューズがあることも知らなかったほど、まったくのゼロスタートだった。今まで競技してきた種目は「投てき」。真逆と感じたのは、無理もないかもしれない。

「中学2年生から陸上競技の投てきを始めました。中学1年生のときはテニスをやっていましたが、ちょうど私が学校に入ったときに投てきの先生も入ってこられて、やらないかと言われたのがキッカケです。縁ですね。それで中学3年生のときには、全国大会で4位になりました。高校も大学もずっと陸上で、円盤投げ、砲丸投げ、ハンマー投げと、槍投げ以外は全部やりました。大会にもいろいろ出て、いろいろな所にも行けましたし、投てきは楽しかったです」

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大学4年のとき、ガールズケイリンへの挑戦を決めた。

「子どものころから外でばっかり遊んでいました」というほど活発だった高橋。大学まで続けた投てきの次に選んだのが、自転車だった。「兄が自転車好きで、趣味でやっていて、ガールズケイリンの復活も大学生のときに教えてもらいました。でも、まだそのときは部活が忙しくて始められませんでした。4年生になったとき、もう一度ガールズケイリンを見てみようと思って、ホームページやユーチューブで動画を見たりしていたら、どんどん興味を持つようになってきました。自分の脚で稼いていることにすごい魅力を感じて、(競輪学校を)受験してみようと決めました。でも、何もわかっていなくて、やっていることは無茶苦茶でしたね(苦笑)」

投てきとは、全然違いましたね。

出身は島根県だが、大学は福岡県。競輪学校合格後に、福岡支部(久留米)へあいさつにいき、藤田剣次に弟子入りした。練習に参加したものの、初めての競技用自転車はさすがに戸惑いの連続だった。
「自転車に乗り出したのは、結局2月くらいから。それで、いざ自転車を買って乗り出したとき、しんどくてびっくりしましたね。苦しくて、苦しくて、全然練習にもついていけませんでした。投てきとは、全然違いましたね。投てきは、投げる何秒でどれくらいの力を出せるかという感じですけど、自転車は持続させながら力を出していく感じ。最初は、とにかく全部が苦しかったです」

それから競輪学校に入り、鍛錬の日々を送る。今は、競走訓練や記録会を経て見えてきた課題と向き合う。それは、投てき時代とは違う、自転車で戦うための体作りだ。

「まだ自転車と一体化して、乗りこなしている感じはないです。短い距離をもがくのは大丈夫ですが、持続的に走り続けることが苦手で、競走訓練でも流れに乗れたときはいいですが、駆け出しで遅れたときはいつも末着。ようやく最近は付いていけるようになってきましたが、もっと頑張っていきたいです。スピードに乗れて最後まで走れればいいんですけど、一回でもバックを踏むとガールズは踏み直しが大変ですからね、そこが課題です。投てきをやってきたのでパワーはありますが、あとは邪魔なところしかないんですよ。とくに、体回りに付いている『無駄な重たいものたち』をできるだけ早く取りたいですね。みんなより何十㎏も重いので、それだけ負荷がかかった状態で走っているということ。はやく取れるように頑張りたいと思います」

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パワーは残したまま、順調な減量を進めている。

すでに9㎏近く落としたという。
「食べようと思ったら、どこまでも食べてしまう(笑)。でも今は量も図って食べているので、一定しか食べていません。間食も減らして、ストレスためないようにしています。急激に落とすとケガも怖いし、もがけなくなっても意味がないので、徐々にゆっくりと、まずは苦しくないくらいに落としていきたいですね」

苦しい練習の反面、自転車だからこその楽しさも発見した。プロで走る姿もイメージしながら、ケイリンの一つ一つの要素を吸収していく。

「緊張する部分は一緒ですけど、自転車は体が緊張していても力がそんなに入らないと思ったので、そこは大丈夫でした。投てきは自分のパフォーマンスを発揮して距離を競うので抜いたという感じはなかったですが、ケイリンは目の前にいる人を抜けば勝てる! そこが楽しいですね。今はまだ戦法が決まっていないので、いろいろと試して、最終的に好きな戦術が決まっていけばいいかなと思っています。レースごとにいろいろな走り方が出来るのが一番良いですね。久留米の開催のときに、小林優香とレースを一緒に見に行ったんです。レースのときはすごくピリピリしている感じでしたし、声もたくさん飛んでいて、2人で『すごいなぁ』と。そこから1年間、ずっとイメージして生活してきましたし、競走訓練でも教官に言われるんですよね。『こんなレースだとお客さんはがっかりするぞ』と。常にそこは意識しないといけないので、魅せるレースができるように脚をつけないといけないです」

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前競技のイメージもあって豪快に思えるが、繊細な面も持ち合わせており、学校生活でも有名なようだ。
「何かと楽観的で、何事も楽しんでしまうタイプですけど、短所は心配性なことなんです。夜寝るとき、外にスリッパを置いておくとダメなんですけど、いつも『大丈夫かな』と確認してから寝るタイプです。消灯ギリギリまで洗濯物を取り忘れていないかな?とか思ってしまって。みんなは『それなら見てきなよー』って笑っています(笑)。それで確認しにいって、ようやく寝られる、安心!と。注意に注意を重ねています(笑)」

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誰よりも速く、強くへ。

そうやって今まで描いてきた放物線の先は、ケイリンに挑戦することを決めた日、誰よりも速く、強くへ、と変わった。憧れの舞台がある。そして、大きな目標があるからだ。
「昨年のガールズグランプリのときは、周回練習をしていたんですけど、自転車を降りてレースを見ろと言われて、見させてもらいました。自分も手に汗を握って、すごいなと思いましたけど、ここで走りたいなと思いました。常に言い続けていますが、グランプリを獲る選手になります。応援よろしくお願いします」